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2016年 SSD技術のトレンドと今後の発展
2016 2016-10-19

2016年はSSDにとって飛躍の年になりそうです。SSDは、これまでストレージ業界の主流だったHDDと比べると様々な優位性を持っています。データへのアクセスが速いこと、機械的な動作がないため外部からの衝撃に対する耐性が高いこと、騒音と発熱の問題のどちらもHDDに比べ小さいなど、様々な点を挙げることができます。ここ数年、半導体の製造プロセス技術の急速な進化の後押しを受けSSDの記憶容量は急激に成長し続けており、容量単位の価格もそれに伴い下降し続けています。このような状況により、SSDは高性能、高容量、低価格の3つの利点を併せ持ったことで、現在のストレージ市場の主流となっています。

アリオンはSSD Alliance(略称SSDA)のメンバーとしても活動しています。今回の記事では、SSDAにおける活動で得た2016年の中華圏におけるSSD業界の展望と、各メーカーの技術開発、およびSSDAの会員企業の動向について記載します。SSDA会員企業には、ワールドワイドでメモリーモジュールの販売を行っているADATA Technology(以下ADATA)、フラッシュメモリとDRAMストレージの産業用制御プロダクトのリーダー的なブランドであるATP Electronics(以下ATP)、高速インターフェイスのSSD制御チップの技術開発とサービスを提供するMaxiotek Corporation(以下Maxiotek)、そして中国市場で重要なポジションを占めるSSDメーカーである深セン市金勝電子科技有限公司(KingSpec/金勝維、以下KingSpec)などが所属しています。

今回の記事では主なトピックが4つあります。1つ目は、一部メーカーで容量の大きな2D TLC NAND Flashが採用され始めている点。2つ目は、3D NANDのポジション争いが2016年後半に起きる点。3つ目は、PCIe/NVMeインターフェイスの製品がストレージ性能を全面的に向上させる形でリリースする点。最後に4つ目は、産業用制御と企業用SSDに対する市場の要求が拡大している点についてです。

 

SSDの主流が2D TLC NANDに移行

SSDの材料コスト(BOM Cost)に対して、NAND Flashの占める割合は最も大きいことから、一部メーカーでは既にSLC(Single Level Cell)やMLC(Multi-Level Cell)から、TLC(Triple-Level Cell)へと移行し始めています。TLCは書き換え可能回数が少なく、アクセス速度がMLCに比べると遅めではありますが、多くのデータを保存できる特徴があります。ADATA Technologyの販売実績を例として挙げると、2015年のMLC NANDがSSDの総販売金額に占める割合は80-85%でしたが、今年に入りTLC NAND製品へと急速に移行し、予想される総売上金額は2016年では70-75%となる見込みです。TLCでSSDを製造する際には、MLCよりも厳しい信頼性試験を行う必要がありますが、ADATAでは独自プロセスで試験を実施し、品質を確保することで製品の競争力を向上させています。

 

3D NANDのポジション争いが、全面的にはじまる

従来使われていた平面型のフラッシュメモリ(Planar NAND)は既に物理的な限界が近づいており、ムーアの法則に従った成長が難しくなってきました。しかしながら、最新の3D NAND技術が出現したことで、フラッシュメモリのストレージには極めて大きな影響がもたらされました。3D NANDは垂直に何層かのデータ記憶を堆積できるため、SSDの記憶容量とコストの課題を改善し、単位あたりのストレージにかかるコスト引き下げをもたらしました。KingSpec社の技術ディレクターである馮文智氏は、次のように語ります。「従来の平面型64GB NAND Flashのチップから比較すると、1枚12インチのウェハから1Xnm MLCであれば600枚、1Ynm MLCであれば750枚、1Yn TLCであれば1000枚切り取ることができます。3Dも同様で、48層の3Dプロセスが投入されることでコストダウンはますます進むものと考えています。」

 3D NAND Flashは下半期で大きく成長を遂げ、ADATAとKingSpecでは、近く3D SSD製品をリリースする予定です。産業流通の上流に位置するATPは、MK8115、MK8113とMK8215という最新のSSD制御ICを開発しました。3D-MLCと3D-TLC NANDをサポートし、”AgileECC”保護メカニズムと組み合わせることで大幅にデータエラーの検出訂正能力を向上させることができます。さらに、”WhiteBooster”による高速化技術を駆使し、SSDハード性能を向上させることで、一般ユーザー市場とエンタープライズ市場の両方の市場をカバーできるようにしています。

 

PCIe/NVMe製品のパフォーマンス向上

PCIeはリード/ライト速度が飛躍的に向上し、SATA Gen 3の最大帯域幅を上回りました。6G容量のPCIe製品は、SATA Gen 3に比べ帯域幅は5倍速く、連続リード/ライト速度のパフォーマンスは約3倍の速度となります。KingSpec社では、PCIe製品にLSI 3008メインコントローラーを採用し、PCIe Gen3 x8をサポートしました。最大リード/ライト速度は4,000MB/S、最大容量は8TBまでサポートしています。これは、データ保存やデジタルコンテンツのダウンロードといった、一般ユーザーが利用する際に求められるストレージへの要求事項を、十分に満たすことができるものです。

 

産業用制御・エンタープライズ向けSSDの需要拡大

 インダストリー4.0、IoT(Internet of Things: モノのインターネット)、ビッグデータの運用といった、更新速度が極めて早く、かつデータの信用が重要視される現代のトレンドにおいて、ストレージは重要な役割を果たしています。主に産業用制御に使用されるような記憶媒体は、コンシューマー向けに作られた製品とは全く別であり、特定の過酷な環境下での運用に耐えうるパフォーマンスを発揮する必要があることから、高いレベルでの製品カスタマイズ(試験の実施を含むハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア等)と高い安定性が求められます。

産業用制御ストレージの分野において豊富な経験を持つATPでは、様々な産業分野のリクエストに対応した製品を提供しています。例えば、工業用品、軍事産業など、要求が過酷な分野(IPC/JEDEC、IEC60529、ISO16949、MIL-STDなど)です。産業用規格では、顧客データに対しては特に高いデータ保護水準が求められることから、NAND FLASHの電源保護技術と特許を改良し、ストレージ製品のキャッシュデータと合わせて電源保護のメカニズムに収めました。産業用のSSD製品には、更に材料リスト(BOM)の管理が求められており、厳重な管理によって顧客のライフサイクル(3~7年)需要をサポートできるようにしています。

インターネット上での取引が右肩上がりで増加する中で、サーバープラットフォームに対する要求事項も高まりつつあります。エンタープライズレベルの顧客層は、ユーザー待ち時間の低減、設備電力の低減、長時間作業下での安定性と信頼性の確保、といった課題があります。アリオンでは様々なブランドのサーバー互換性試験や、エンタープライズ製品のパフォーマンス試験、ビッグデータアーキテクチャのパフォーマンス試験、製品のベンチマークといったオーダーメイドの試験サービスを提供してきた実績があります。こうした実績と経験から、サーバーの安定性と設備の温度耐性が、サーバーのエラー頻度に直接影響を与えていることが判明しています。スループット、運用性、レイテンシ、電力消費量といった項目に対し、それぞれ比較分析を提供しています。

 

アリオンの総合ストレージ評価プラン

コンシューマー向けSSD、エンタープライズ向けSSDにそれぞれ対応した試験に加え、アリオンでは湿度・温度試験やサーマルショック試験といった信頼性の確認を含む、工業規格に関連した試験を提供することもできます。SSDが過酷な環境下においてパフォーマンスがどのように変化するのか、確認が可能です。耐久性試験では、SSDを長時間にわたって特定の条件下(厳しい温度環境、データアクセスが高負荷な状態など)で使用した場合、データにエラーが出ないかどうかを確認します。パワーサイクル試験では、事故や停電などで突然電源が遮断された場合を想定したシャットダウン試験や、システムのコールドブートとOOB(アウトオブバンド)検出などを行っています。

コンシューマー向けSSDに対しては、主にSATA、PCIeといったSSD向けの業界標準規格に適合した各種試験のほか、パフォーマンス試験、データインテグリティ試験、消費電力試験、ノイズ干渉試験、そして広いカバー率を誇る互換性試験を提供しています。各メーカーから買い集めた1,000種類近いPCシステム、タブレット、RAID、チップモジュールなど、アリオンの保有する製品群を組み合わせた中でSSDを使用することで、様々なプラットフォーム下におけるパフォーマンスを確認します。

2016年は、SSDにとって飛躍の年です。中華圏では、今回の記事で紹介したように、様々なSSDメーカーが鎬を削って開発に専念しています。アリオンはSSDAに加入している各メーカーと共に、より高いパフォーマンス、大容量、そしてより低価格なSSD製品の発展に寄与してまいります。

 

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