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CES2017直撃! 次世代技術の動向に迫る
2017 2017-02-02

2017年1月5日から8日にかけ、今年で50周年を迎えた世界最大規模の国際家電ショー、CES(Consumer Electronics Show)がラスベガスで開催されました。出展企業は過去最大の約150か国、3800社。来場者を含む17万人が参加し盛大に行われました。従来、CESはコンセプト展示が中心でしたが、今年は量産型モデルも数多く展示されていました。一番の注目はVR製品で、展示数は昨年比で79%増となりました。自動運転技術(ADAS)、車載デバイスなども人気で、展示スペースは約20万平方m以上割り当てられていました。CESの視察を通して、最先端製品を中心に9つの次世代トレンド予測を立てました

 

自動車メーカーが積極的に出展 ADASなど最先端技術を各社が競う

今年は自動運転車に関するブースが昨年より増え、10ブース展示されていました。新興EVメーカーFaraday Future(ファラデー・フューチャー)がCES 2017開幕前のプレス向け発表会で、初の市販モデルとなるSUV型EV「FF91」を発表しました。FF91のEVとしての性能は、走行距離約608km、加速性能0-60mph、0-97km/h加速でメーカー公表値2.39秒をマークしています。また、ライバルであるテスラのModel Sとの比較走行試験の動画が公開されました。

FF91は運転手の顔認識システムや、車内温度と運転席の高さの自動調整機能、さらに、音楽、動画のカスタマイズ機能を備えています。また、ドライバーの降車後に車が自動的に駐車スペースへと向かう「駐車アシスト機能」も搭載されています。実際のお披露目では、現場の駐車スペース確保に問題があったため、本来のパフォーマンスができず、残念な結果となりました。

Faraday Futureは、ホームページ上で「FF91」の販売予約を開始

 

ホンダは「Cooperative Mobility Ecosystem(考える・つながる・楽しいモビリティのある世界)」をテーマとして、人工知能を搭載したEVコミューターのコンセプトカー「NeuV」を発表しました。NeuVは自動運転機能を備えるとともに、機械自らの感情を擬似的に生成する機能を持つAI(人工知能)「感情エンジン HANA」を搭載しています。感情エンジンHANAによって、ドライバーの表情や声の調子からストレス状況を判断し安全運転をサポートします。また、ライフスタイルや趣味などに応じた選択肢の提案を行い、ドライバーとモビリティの自然なコミュニケーションを実現可能です。

ダイムラーは、運送業者向け宅配用バンのコンセプトカー「Vision VAN」を出展しました。Vision VANは荷台部分に荷物の自動整理システムを搭載しており、目的地が近づくと配達する荷物を自動で選出し、運転席近くに設置された取り出し口まで運んでくれます。天井部分には配達用ドローンの基地を設置するなど、未来の宅配用車両のアイデアも盛り込んでいます。ドローンは2機搭載で、半径19kmの範囲内ならドローンで配達可能。75kWの電気モーターを採用し、270kmの走行距離を保証しています。同社は遅くとも2021年には発売する予定です。

ダイムラーが提唱する未来の宅配用コンセプトカー 2021年量産予定

 

BMWは、自動運転と自動駐車が可能なBMW5シリーズのプロトタイプを発表しました。駐車場に到着した時、車と駐車場の管理システムとが連携して駐車スペースを探してくれる機能が搭載されています。降車スポットに到着して車から降りると、車は自動的に駐車スペースへと向かいます。駐車が完了すると通知があり、ドライバーはシステムから車の状態を常に確認できるようになります。

BMWは現場で試乗体験を行い、自動駐車システムを披露

AI(人工知能)の活用は自動車だけに留まりません。ホンダはAIを搭載した自立可能な二輪実験車「Honda Riding Assist」を世界で初めて公開しました。これは、「ASIMO」に代表されるヒューマノイドロボット研究で培った、ホンダ独自のバランス制御技術を二輪車に応用した実験車両です。乗車時も停車時も、車体が常にバランスを保った状態で自立しているため、低速走行時や停止時のふらつき、旋回時の転倒リスクが抑えられています。この実験車両は追跡システムを搭載しており、設定した目的地まで低速で自動運転します。

 

IoVのトレンド 車内エンタテインメントを強化

BMWは、次世代自動車の概念の方向性を示す新たなコンセプトカー「BMW i Inside Future」を初公開しました。4人乗り設計ですがドアがついておらず、タイヤの前後輪部分も従来のものと異なる仕様で作られています。車内のセンターコンソール部分は全て液晶画面で、注目すべきはインストゥルメント・パネルに搭載されたBMWの新たな技術、ホログラム式インターフェイス「HoloActive Touch」です。ドライバーは空中に投影されるコントロール・パネルにアクセスし、手を振るだけで様々な機能を選択し実行できます。また、ステアリングホイールから開放されたドライブが楽しめるため、運転以外の作業に集中することが可能になります。そして、座席のヘッドレストでは「Personal BMW Sound Curtain」が再生可能で、ヘッドフォンを着けずに自分の好きな音楽を楽しむことができます。

BMWは「BMW i Inside Future」を公開し、「HoloActive Touch」という新たな技術を紹介

IoV(Internet of Vehicles)では自動車に限らず、二輪車も注目されていました。台湾のバイクメーカーKymcoは新型モデルのスクーター装備「Noodoe」を展示しました。Noodoeは3つのパーツ ―「スマートメーター、携帯専用アプリ、ハンドルコントローラ」が組み合わさっており、運転手はハンドルに備えられたスイッチで簡単に操作が可能です。ダッシュボードがネットワーク接続可能で、スマートフォンと接続することによって、スピードと時間表示といった基本機能のほか、天気予報、各種SNSの更新や不在着信通知など、様々な情報を表示します。安全上の予防措置として、車両が完全に停止した時にのみメッセージや通知を読むことができます。Noodoeは今年前半に量産され、6月末に台湾で販売が開始される予定です。

 

VR、ARに注目集まる 応用範囲が拡大

今年のCES会場では、VR関連デバイス同士が熾烈な競争を繰り広げていました。そんな中で最も注目を集めていたのは、Samsungの「Samsung Gear VR 4D Experience」でした。これはユーザーがコンテンツに深く没入できるよう、VRコンテンツの映像や操作に対応しており、360度回転椅子に乗った状態で宇宙空間やジェットコースターといった疑似体験が可能です。同時に、SamsungはGear VRの販売台数が全世界で500万台に到達したと発表しました。

各方面から注目を集めているHTC Vive 2については、今回は残念ながら発表はありませんでした。その代わり、HTCはVR対応ヘッドマウントディスプレイ「Vive」用の周辺機器と、関連サービスを公表しました。今回発表された機器は、銃型コントローラや手袋、バットといった現実にあるモノに取り付けると物体の動きをトラッキングしてくれるセンサーデバイス「Vive Tracker」と、Viveに取り付ける専用ヘッドフォン「Vive Deluxe Audio Strap」の2製品です。会場では体験型の展示を行っており、TPCastのVive無線化キットを持って約10mのブース内を自由に動き回ることができました。

ASUSは、GoogleのARプラットフォーム「Tango」とVRプラットフォーム「Daydream」に対応したスマートフォン「ZenFone AR」を披露し、今年の第2四半期に発売する予定です。特徴的なのはアパレルブランドGAPとの提携で、ARを利用したバーチャル試着が可能なショッピングアプリが登場し、ARが持つ新たな可能性を示していました。

 

Intel5G初登場 自動車市場を狙い撃ち

次世代のモバイルネットワーク技術「5G」(第5世代移動通信)もまた、CES2017では大きな注目を集めました。自動車市場への取り組みを続けるIntel社は、CESで5G対応モデムを発表しました。このモデムは6GHz以下の周波数とミリ波に対応したことで、グローバルで5Gを利用可能です。また、4Gよりレイテンシ(遅延)が減り、帯域幅も増加しています。3GPPの5G NR技術にも対応しており、IoTやコネクティッドカー、モバイル機器など、IoTでの活用を期待できます。2017年後半には、5G対応モデムのサンプル出荷を開始する予定とのことです。その際には、技術開発者が5G技術を優先体験できます。

 

ソニーが4K有機ELテレビ初披露 HDMI 2.1も発表

ソニーはCESで初の商品化となる4K有機ELテレビ 「ブラビアA1Eシリーズ」を出展ていしました。展示モデル「XBR-A1E BRAVIA OLED」は、800万の自発光デバイスである有機ELパネルと、ソニーの持つHDR対応の高画質エンジン「X1 Extreme」を融合させ、これまでにない黒のレベルを含めた高い階調表現に加え、広視野角からの鮮やかさとともに、強力な画像処理技術による高い画質を実現した製品です。また、オーディオには「Acoustic Surface」というサウンド技術を採用しており、スクリーン全面から音が出ます。

ソニーが発売予定の4K有機ELテレビ「XBR-A1E BRAVIA OLED

 

一方、LG電子は最上位モデルの有機ELテレビ「OLED TV Wシリーズ」を発表しました。Dolby Visionに対応するだけでなく、全世界で初のDolby Atmos対応のスピーカーも採用されています。会場では有機ELディスプレイをアーチ状に配列させてLGビデオトンネルを設置し、光と音の効果で来場者に深い印象を与えました。

信号伝送技術では、HDMI Forumが「HDMI Version 2.1」規格を発表しました。HDMI Version 2.1は、最新の4K/120Hzや8K/60Hzの解像度及びHDRに対応の、最大48Gbpsまでサポートした高速データ通信規格です。8K HDRを含める非圧縮の映像が送信でき、既存の規格も対応可能です。ゲームの映像表現に対し、動画などをスムーズに伝達できるよう「Game Mode VRR」を追加しました。

 

ワイヤレス充電技術 医療分野への応用が増加

近年目覚ましい発展を遂げているワイヤレス充電技術は、もはや未来のデジタルデバイスの基本条件と言っても過言ではないかもしれません。EPC社(Efficient Power Conversion)はGaN技術を採用した無線充電システムを展示しました。これは、ノートPCや携帯電話などの様々な無線充電規格を採用するデバイスを充電可能にするシステムです。ブースでは医療機器や自動車関連の製品が展示されており、医療機器としてはピル(錠剤)内にX線システムを内蔵したことで非侵襲的に検査できる大腸内視鏡が展示されていました。自動車関連としては、自動運転車に対応するイメージセンサーシステムを強化するソリューションが、GaN技術を示す展示として公開されていました。

NXP社は、最大100Wまで出力可能なワイヤレス充電ソリューションの提供を発表しました。これは、厚さが2mm未満と極薄であるため、様々な工業デザインのニーズに広く応えることができます。電源充電規格にも対応しており、将来的にはノートPCや2 in 1タブレットで活用できることが考えられます。

 

様々な分野でドローンを活用 各市場で拡大見込み

急速な進歩と、用途の多様化がすすんでいるドローン技術も、CES 2017では大きな中も奥を集めていました。ドローンを開発しているPowerVision社は、昨年はタマゴ型のドローン「PowerEgg」を発表し話題になりましたが、今年は「PowerRay」という水中ドローンを披露しました。PowerRayは、なんと魚を釣ることができるドローンです。水深約30mまで潜ることができ、ソナーで魚を検出し、スマートフォンのアプリで餌を準備できます。さらに、4K撮影が可能なカメラを内蔵しており、スマートフォンを通してリアルタイムで映像を確認できます。パイロット視点での操縦はもちろん、VRゴーグルを使えばダイビング気分にも浸れます。

ドローン分野で一番注目されているのは、中国のドローン企業であるEHangが開発した最大無人航空機「Ehang 184」でしょう。Ehang 184は約100kgまで積載でき、最大時速は約100kmです。乗客が専用アプリから目的地を選択すると、指定した場所に向かって自動的に飛行する機能を備えています。しかし、残念ながら今回は法律の都合上、現場で体験飛行ができませんでした。

Ehangは自動飛行機能を備えていますが、悪天候の場合は「コマンドセンター」にいる人間のパイロットが、機体の操作を引き継ぐことで安全に操縦できます。

 

スマート生活 家電、ロボット多数

LGは「人工知能サービスシステム」という数多くのロボットシステムを発表しました。その中でも、Amazon Alexaの音声認識技術を使った「LG Hub Robot」という人工知能搭載のパーソナルアシスタントロボットが注目を集めました。調理家電、ロボット掃除機などを音声コマンドによりコントロールし、天気予報やニュース、交通状況などの情報も提供可能です。また、Hub Robotには顔認識システムが搭載され、家族の誰かが帰宅したら、まるで家政婦のように、個人に合わせて様々な挨拶を設定することが可能です。

現場ではSIGNATUREシリーズのスマート家電も展示されました。冷蔵庫と洗濯機では、専用アプリで操作すると不在時の洗濯、冷蔵庫内部の確認が行えます。また、センサーが搭載され、ドアを指先でタッチするとドア部分が透明になり、内部を確認することができます。

音声コントロールできる「Hub Robot」(左)と、専用アプリで遠隔操作可能なスマート家電(右)

 

ソニーもコンセプトロボット「Xperia Agent」を発表しました。音声認識搭載や音楽再生機能だけでなく、監視システムにも対応しています。想定される使用場所は、オフィスあるいは家庭内です。スマートフォンでGoogle Nowと接続し、スケジュールのリマインド、天気予報、スポーツ速報などの通知を設定できます。

注目を集めた小型エージェント「Xperia Agent」

 

まとめ:自動運転車とドローン技術がより成熟 市場拡大を期待

従来のCESでは多くの製品がコンセプト展示のみでしたが、今回行われたCES 2017の会場では製品展示が多く見られ、以前より充実した展示内容に変化を遂げています。アリオン株式会社グローバルマーケティング・戦略推進兼取締役副社長であるAnne Tsouは次のように語ります。

「自動運転車とIoVは既に技術的に成熟しつつあり、市場は拡大しつつあります。車内エンタテインメント関連の製品が会場で展示されることで、次世代自動運転車が普及し、より一層ニーズが増加すると予測されます。また、ドローンの技術革新と、各メーカーの製品開発およびマーケティング努力によって、徐々に一般市場へと普及が進んでいます。今後のドローンの展開には期待を寄せています。」

製品に対する国際的な技術評価・品質検証企業である当社では、専門的な製品評価チームと、数多くの互換性試験用機材による試験ソリューションを提供しています。IoT発展の流れに追従し、IoT製品の試験ソリューションを提供することで、お客様のIoT製品開発のスピードアップと、製品の安全性向上に協力しています。 

 

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