技術ブログ

モノとモノとが結ばれる、ユビキタスなIoTの世界
2016 2016-01-19

いま、注目されている言葉、IoT(Internet of Things、モノのインターネット)というと、耳にしたことがある人は多いことでしょう。しかしIoTをどう言い表すべきかとなると、多くの人は言葉に詰まるのではないでしょうか。近頃の技術関連メディアはIoTの時代到来を喧伝し、市場規模が数兆ドルに達するとまで説明するところもあります。一方でIoTがどんな影響をもたらすか、よくわからないという人は多いでしょう。一体、IoTは私たちの暮らしとどんな関係があるのでしょうか。将来の産業、仕事、生活は、どう様変わりするのでしょうか。

アリオンでは、8月に本ブログに掲載した「IoT分野で注目の集まるスマートホームソリューション」で、数多くのIoTの特性を取り込んだスマートホーム用デバイスについて紹介しました。家庭でIoTが活用されることで、より生活が便利になると解説しました。今回の記事では、IoTの奥の深さについて解説致します。市場への参入、競争といった角度の異なる切り口から市場でのビジネスチャンスを読み解くことで、将来の流れを判断し、これからIoTの成長が期待できる分野を分析しています。アリオンは、IoTを成長させる要素の探求、そしてIoTの持つさまざまな可能性の予測を通して、企業が将来における市場の変化に対応するためのお手伝いをしたいと考えています。

 

みんなの暮らしを変えるIoT

IoTはその名のとおり生活の至る所にある(つまりユビキタス的な)設備や施設を、無線または有線によってインターネットと接続し、それぞれの設備、施設、モノが相互に通い合うようにすることで、暮らしをよりよくすることを目的としています。最近、センシング機能やネット接続機能をもつ電子製品が次々と市場に出ています。その重要な先駆けとなったのがスマートフォンで、その機能はいずれもIoTへの対応を念頭に置いて誕生しており、次第に人の衣食住、移動や娯楽の面倒まで見るようになりました。実際のところ、IoTはずいぶん前から人々の暮らしの中に入り込んでいるため、もはや単なる呼び名ではありません。徐々に身の回りに現れ、目立たないうちに人々の暮らしを変えています。

 

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 全面的なIoTがもたらす新たな成長 

「すべてのモノはネット接続が可能」という概念は、IoTの発展に限界がないことを示しており、設備や用品はいずれもIoTの一員になり得ます。企業管理コンサルティング会社のマッキンゼー・アンド・カンパニー(McKinsey & Company)のデータによると、2025年におけるIoT関連産業の規模は3.9兆から11.1兆ドルにのぼると予想しており、その応用分野の一位と二位に、医療介護製造業を挙げています。これは、2025年にはIoTによりユビキタス社会が達成されることを意味しています。

 

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長期にわたりIoTの発展に注目してきた市場調査機構のガートナー社のデータ(下図参照)によると、IoTデバイスは2020年に260億個になり1.9兆ドルの経済価値を生むと予想しており、その一位と二位は製造業医療介護で、これはマッキンゼーの予測と一致しています。2014年の37億個に較べると、毎年35%の成長という計算になり、このような高成長の市場はほかには少なく、かなり大きな商機と利潤を生み出すと見ています。

 

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ガートナー社は、それぞれの市場で顕著な成長が見込める点を強調しています。たとえば、年平均成長率(Compound Annual Growth Rate、CAGR)が最も高いのは自動車市場(Automotiveで、67.2に達すると予想しています。以下、自動化やエネルギー関連といった公益事業44.3、医療、スマートホームやエネルギー管理、娯楽などの消費市場32.4となっています。この中で、医療スマートホームエネルギー管理に対しては大きな期待を寄せられています。このほか、農業、公共事業、小売業、交通といった垂直市場のCAGRも24.1となっています。

市場調査機構IDCの最新消費ガイド報告によると、2015年から2019年までのIoTのCAGRは17.0%に達し、全世界におけるIoT関連の支出は、2015年の6,986億ドルから、2019年には1.3兆ドルまで増えると予想しています。今後五年間、IoT関連の支出で最も大きな伸びを示す分野として、保険(CAGR約31.8%)、医療消費市場を挙げています。

 

欧米、中国の参入で、またたく間にホットな市場に

台湾の工業技術研究院によると、IoTの概念はまず欧州で推し進められ、中国がその後を追い、ここ数年になってアメリカが急速に追い上げてきています。アメリカでは実践を通して発展を促す手法をとっており、一方でIoT欧州研究クラスター(IoT European Research Cluster)ではIoT関連の基準を大量に打ち出してきており、両者は対照的です。

中国は早い段階でIoTを国家新戦略産業に組み入れています。台湾では、IoT初期のコアテクノロジーであるRFID(高周波無線識別装置)M2MMachine to Machine)技術があります。これらは器材やデバイスをつなげる通信技術であり、またIoTの一形式ですが、利用できる分野は限られています。この二つの分野におけるIoTの運用は、遠隔にあるデバイスの信号を情報センターに送るだけでなく、その他の情報と結びつけて、システムが判断、処理を行う段階にまでレベルアップしています。

 

IoTで競争を勝ち抜くには、ソフトウェアとサービスが肝心

IT業界に目を向けると、最も早くIoTに注目した企業は、IoTをIoE(Internet of Everything)と表現したシスコシステムズです。シスコ社は2011年には早くも「スマートコミュニティ(Smart & Connected Community)」構築を目指すと表明し、2020年には500億個の端末がネットでつながると予測しています。IBMは応用サービスに活路を見出し、産業フレームワーク、スマートプラネットの構築にもあるように、非ITの器材メーカーと繋がることで、IT(Information Technology)からOT(Operation Technology)への橋渡しを構築しようとしています。マイクロソフトは、すでに2011年にはデバイスとサービス、つまりクラウドに注目しており、Microsoft Azure共有クラウドで多くのIoTサービスを提供しています。インテルは2013年から数多くのソフトウェア会社を買収し、IoTソリューション・アライアンスを形成し、プロセッサメーカーから、ソフトウェア、システム中心の会社へと脱皮しようとしています。

 

IoT成長分野予測

今の産業界ではIoTほど名の売れた言葉はないほどで、ハイテク関連メーカーだけでなく、従来型の企業でさえIoTで商機をものにしたいと考えています。ポストPCの時代を迎え、IoTは最も大きなビジネスチャンスといえるでしょう。台湾の工業技術研究院は2014年において、これから数年で大幅に成長するであろう技術分野として次の七つを挙げています。

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  • コンピューティング

今のコンピューティング能力は、膨大で複雑なタスクの量をこなすのに十分だが、このような製品を大量に複製、量産できるようになるかというのが研究課題となっている。

  • ストレージ・記憶媒体

容量の拡大競争が加速し、SSD、USBメモリーを含めたストレージデバイスは多様化し、価格も低下して、コンパクト化していくと予測。

  • コミュニケーション

一部の仕事は、識別証なしでもアクセスできる方法、つまりWi-Fiなど、通信処理技術やプログラムによって置き換えられる。

  • インターフェース

多様化したサイズ、高解析度のモニターがIoTとつながって、映像と音声、動作が結びつき、タッチパネル、仮想現実の技術が進む。

  • センサー

応用範囲が広がる。たとえば、カメラはデータ受信処理できるようになり(顔認証、モーション識別など)、異なる機能をもつセンサーが相互につながって情報交換できるようになる。

  • コントロール

ごく簡単なコマンドから非常に複雑なコマンドまでこなせるようになる。飛行機エンジンの場合、革新的な設計とパラメータ調整を通して、より多くの価値を創造できる。

  • データ・ソフトウェア

SNSの隆盛で最大のチャレンジに直面する。異なる情報ソースから非構造化データを、いかにして集め、処理し、いかにして分析、分類し、表現するか。いずれも新技術による後押しが必要となる。

 

市場調査機構IDCが2015年に発表したIoT展望に関する報告によると、将来訪れるであろうIoT時代について10項目の予測を立てています。

1. IoTとクラウド:今後五年間で、90%以上のIoTデータは、IoT「データ融合」をサポートするときの複雑さを低減させるため、サービスプロバイダーのクラウド演算プラットフォームに委託管理されるようになる。

2. IoTと情報の安全:今後二年間で、90%のネットでIoTに起因する安全上の問題が出現するが、ほとんどは一時的な障害にとどまり、重大な危機が訪れることはないと予測。

3. IoTとエッジ(Edge)の安定:2018年、IoTを通して作成されたデータの40%が、ネットでストレージ、処理、分析、実行されるようになる。

4. IoTとネット通信容量:IoTがもたらすデータは膨大なものなので、ネット通信の帯域幅の50%は三年以内に帯域幅の不足に陥り、10%のウェブサイトが埋没する。

5. IoTと通信インフラ:2017年になると、90%のデータセンターと企業システム管理は急速に新しい管理モデルを採用し、通信インフラやBYOD設備を管理するようになる。

6. IoTと垂直分散化:現在、IoT関連の活動の50%以上は、製造業、交通機関、スマートシティ、消費に集中しているが、五年以内にはすべての業界でIoTが推し進められる。

7. IoTとスマートシティ:2018年になると、地方政府はIoTの商業的価値の実現、構築、管理のために、政府支出の25%を注ぎ込むようになる。

8. IoTと組込みシステム:2018年になると、当初はカスタマイズ開発されて閉鎖的だった産業ソリューションがオープンソリューションに変わっていく。

9. IoTとウェアラブルデバイス:五年以内において、40%のウェアラブルデバイスが、スマートフォンを代替する大衆消費製品となる。

10. IoTとミレニアム世代:2018年になると、全世界における人口の16%が、幼いころからネットやデジタル機器に親しんだミレニアム世代となり、IoT応用が加速する。

 

市場の変化にどう対応するか

これまで述べてきた未来のトレンドをまとめると、IoTは単にモノとモノをつなぐだけでなく、センサーやクラウド演算と結びついて、企業はほぼ無制限にデータを獲得できるようになります。これがIoT最大の強みです。将来において一社一社がチャレンジするべきことは、これらのデータをなんとか利用して実際に役に立つ資料に変え、顧客へのサービスを改善し、製品発売までのリードタイムを短縮し、製品とサービスのイノベーションを実現し、最終的には新しいビジネスモデルを構築し、収益の道筋をつけて、自社の業態を転換させるところまでもっていくか、ということになります。

l IoTが応用される範囲が拡大するにつれて、医療保健関連装置やウェアラブルデバイスなどの電子機器がひとりひとりの暮らしの中でどんどん身近な存在となり、身体の内部に入り込むこともあり得ます。エンドユーザーはますます製品の安全性を重視するようになり、家庭用監視カメラなどは、撮影した動画保存の安全性にこだわるようになるでしょう。機器ユニットのメーカーは、これを機会に自社ブランドを構築し、消費者の信頼を得るべきでしょう。

l 多くのIoT設備は買い替え周期の長いハードウェアであり、市場は思ったよりも早く飽和状態になるでしょう。よって、設備メーカーは、サービスで製品の価値を向上させるといった対応をしなければ市場で淘汰されてしまう可能性があります。もちろん、IoTの強みは体験であり、ストーリー性です。たとえばGoogle glassの場合だと、クールなデザインと機能を備えていますが、人を感動させるような利用シナリオが描けていないので、いまだに市場で大きな話題となっていません。

l IoTがもたらすのは生産性の向上とコストダウンだけでなく、人間中心の考え方で付加価値を最大化することです。このため、従来型の設備機器メーカーも業態を転換する必要が迫られます。たとえば、タイヤ大手のミシュランはタイヤ内にセンサーを埋め込んでタイヤの使用状況をフォローアップし、顧客にタイヤ交換を知らせるサービスを提供すると同時に、自社の生産量管理の上でもタイヤ交換されるであろう本数をあらかじめ知ることができます。また、製品を中心とした従来型の営業モードから、サービス中心に転換することなども、IoT時代に向き合うときに備えておくべき新しい考え方です。

l IoTをめぐる競争で勝利するには、提携関係の構築が鍵となります。言い換えると、設備機器メーカーは新興企業に注目し、買収や業務提携といった方法で市場を開拓することが求められるでしょう。Gartner社の統計によると、IoTソリューションの50%は創立三年未満の若い会社から生まれると予想しています。だとすると、買収や業務提携を行うことにより、より多くの商品を市場に送り出すことができ、設備機器メーカーも新興企業の異なる考え方を学ぶことができます。

 

アリオンとともに築く無線業界の未来

IoTは技術的な革新であるばかりでなく、いつでもどこでも人とデバイスが無線でつながる体験を提供しています。さまざまなIoTの利用シーンの中心には、ウェアラブルデバイス医療とスマートホームスマートフォン自動車といった分野があります。

ウェアラブルデバイス

ウェアラブルデバイスの発展は、無線技術の進歩を原動力としているといえます。スマートウォッチは、スマホとタブレットに続いて、最も期待されているウェアラブル製品です。スマートウォッチは今では、スポーツや身体の状況を監視し、定期的にフォローアップできる手首着用端末となりました。アリオンは、ウェアラブルでよく用いる技術(Bluetooth LEなど)の認証を取得できるとともに、無線技術試験のソリューションを提供することができます。(参考資料:スマートウォッチ市場動向:末端市場の主流商品となるか?

医療とスマートホーム

すべてがつながるIoTの世界で、最も注目されているのが医学の分野です。多くの家庭用ライフケア製品が私たちの家に入り込んでいます。現在、ヘルスケアと医療技術を推進している業界団体であるコンティニュア(Continua)は、業界の基準を定めて、健康管理デバイスや機器の品質管理に協力している。アリオンが提供しているコンティニュア認証試験を受けることにより、製品をコンティニュアの定めた業界基準に適合させることができるだけでなく、スマートホームの応用ニーズに合わせていくことができます。また、メーカーの開発速度のスピードアップにつなげることも可能です。(参考資料:IoT分野で注目の集まるスマートホームソリューション

スマートフォン

スマートフォンが世に出て、コミュニケーション、ナビゲーション、通信、娯楽の方法が変わりました。スマホとタブレットがあれば、日常生活を管理することが可能となります。アリオンではカスタマイズ評価サービスを提供し、企業が競争力のある商品を発売できるよう後押ししています。特にDisplay Performance UXの試験項目は、スマホでよく使う使用モード、顧客のニーズによって試験項目をカスタマイズできます。(参考資料:スマートフォンのユーザー・エクスペリエンス最適化検証―ディスプレイ編)また、スマホに不可欠なカメラについては、画素や機能、そしてデジタルカメラの比較が、ユーザーがスマホ端末を選ぶ際のポイントとなります。アリオンでは、顧客のニーズに基づきカスタマイズされたUX試験サービスを提供できます。(参考資料:スマートフォンのユーザー・エクスペリエンス最適化検証―カメラ編

自動車

自動車は単なる乗り物ではなく、ライフスタイルの延長にある製品です。自動車メーカーが無線の技術を採用するケースが増えており、自動車にスマートデバイスを接続させるケースも増加しています。IoV(Internet of Vehicle)の時代となり、ネット接続装置やその配備に対するドライバーの要求レベルが上がってきていることに、多くのメーカーが気付いてきました。IoVは装置の複雑性や多様性との関連性がきわめて高い。アリオンは専門チームとIoTデータベースを有しており、自動車用デバイスの互換性検証には定評があります。試験を行うことで、製品の競争力強化のお手伝いをすることが可能です。(参考資料:IAA2015レポート:自動車技術の最重要トレンド、コネクテッド・カー

アリオンは常にお客様と同じ側に立って、各種試験サービスを提供しています。長期にわたるIoT発展の流れに追従し、IoT製品の試験ソリューションを提供することで、お客様のIoT製品開発のスピードアップと、製品の安全性向上に協力しています。また、Wi-Fiアライアンス認可の試験ラボとして、お客様に必要な無線に関する要求事項を深く理解しており、Wi-Fi認証試験サービスを提供しています。また、ソフトウェアのシステムとUI設計が複雑になっている昨今において、アリオンではシナリオに基づいたユーザー行動の検証、問題の原因追究、デバッグサポートを含めたソフトウェア検証、およびユーザー・エクスペリエンス最適化検証を提供しています。アリオンのソフトウェア開発ソリューションは、お客様の製品開発の効率化を進めます。アリオンのサービスに興味をお持ちの方は、以下のお問い合わせ先までお気軽にご連絡ください。

 

お問い合わせ先

E-mail: service@allion.co.jp

Webフォーム:http://eservice.allion.com/allion/jp/feedback.asp

 

参照記事:

I. Mckinsey.com (2016). Unlocking the potential of the Internet of Things. 

II. Economywatch.com (2016). Germany GDP (Current Prices, US Dollars) data. 

III. Gartner.com (2016). Gartner Says the Internet of Things Installed Base Will Grow to 26 Billion Units By 2020. 

IV. www.idc.com (2014). IDC Reveals Worldwide Internet of Things Predictions for 2015.

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